2020
2020年(令和2年)4月号_神奈川県公立高校入試版
公開日:2020年04月01日
【令和2年度入試はこう実施された!!】
「ペンギン入試レポート4月号(神奈川県公立高校入試版)」では、令和2年度神奈川県公立高校入試の結果についてお知らせします。ぜひ、ご一読いただきお役立てください。高校入試で合格を勝ち取ることができるように、臨海セミナー職員一同、できる限りの応援をさせていただきます。入試に関するご相談などがございましたら、ご遠慮なさらず、臨海セミナーの各教室までお問い合わせください。
1. 令和2年度入試の選抜結果について
令和2年度は、全日制の課程では149校で共通選抜が行われました。全日制募集人員41,280名に対して志願変更締切後の確定志願者数が48,275名、確定志願倍率1.17倍(昨年度1.19倍)、受験者数が47,891名、受験倍率1.16倍(同1.18倍)、合格者数が40,287名、実質倍率1.18倍となりました(同1.19倍)。全体として、昨年度と比べ、大きな倍率の増減は見られませんでした(※表1参照)。一方、県教育委員会が発表した令和2年度の県内私立高校一般入試志願倍率(中間集計)は、1月30日午後3時での平均倍率5.02倍となりました(※表2参照)。神奈川県私立高校一般入試志願倍率は、近年は5倍近くで推移しています。これは、「必ず滑り止めの私立高校を併願しよう」という受験生の意識が高まったためと思われます。
表1 令和2年度共通選抜実施状況
表2 神奈川県私立高校一般入試志願倍率(中間集計)
2. 選抜方法について
共通選抜に使われる資料は、第1次選考では①調査書の評定、②学力検査の得点、③面接の得点、④特色検査の得点(一部の学校)、第2次選考では①学力検査の得点、②面接の得点、③特色検査の得点(一部の学校)となります。各高校は、これらの資料の得点に各校で定めた比率をかけて合計した数値Sを求め、その値の高い順に合格者を出します。第1次選考では募集人員の90%までを、第2次選考では募集人員の10%を選考します。表3は、令和2年度共通選抜での各比率の採択状況を示しています。第1次選考では4:4:2、つまり調査書の評定と学力検査を同等に重視する比率を採択した学校が最も多く、次いで5:3:2、3:5:2となりました。第2次選考で最も多く採択された比率は8:2、次いで7:3であり、多くの学校・学科で学力検査を重視する傾向が見られました。
表3 令和2年度共通選抜各資料の比率令和2年度共通選抜各資料の比率
表4は、令和2年度入試で調査書の評定または学力検査を重点化した学校数を示しています。重点化とは、選抜において特定の教科を重視するために、調査書の評定や学力検査の得点に一定の範囲で比重をかけて計算することをさします。国際科や外国語コースで、英語の評定や英語の入試得点を2倍し、英語の得意な受験生の総合成績を高くなるようにするなどがそれにあたります。令和2年度入試では、調査書の評定のみを重点化した学校が最も多くみられました。
表4 重点化を行った学校
3. 学力検査について
【令和2年度入試の出題傾向と今後の対策】
英語
英文や資料を速く正確に理解する練習、必要な情報を整理して表現する練習、単語や文法事項の学習の3点に力を入れる必要があります。入試では、選択肢や資料などを含め多量の英文をすばやく正確に読むことが求められるので、継続的に英文を読む習慣をつけ、速さと正確さを意識して英文を理解する訓練をしましょう。また、英作文問題に関しては、与えられた場面に合った英文を作ることが求められます。教科書の内容を理解するだけでなく、さまざまな場面で英語の表現ができるよう語彙を増やしておくと、有利になります。
数学
受験生の多くが悩む問題、受験生の多くが容易に解くことができる問題と、設問ごとの難易度の差は大きく開く設問があります。なぜ、多くの受験生が悩むのかそれは初めて見る形式の問題、複数の要素・条件が絡む問題、大胆な発想の切り替えが必要な問題だったりします。どれも経験をたくさん積み自信をつけることで解消できるものです。自信を持って入試に臨むためには、試験範囲が設定された定期テストだけではなく、特訓用の問題集や模擬試験を利用してさまざまな問題に触れることです。また、今回難度の高かった空間図形は、中1で学習しますが中2で扱うことがありません。模擬試験は習ったことを忘れないためにも重要です。
国語
まずは小中学校で学んだ漢字を熟語や文の形で練習しましょう。また、助詞や助動詞の識別をはじめとした、文法事項の復習も行うとよいでしょう。小説文では登場人物の発言や行動に着目して心情をとらえながら読む練習、論説文では筆者の主張や要旨をつかむ練習が必要です。古文については「誰が何をしたのか」を把握しながら読む練習をしましょう。主語が省略されている場合は、自分で補いながら読む必要があります。記号選択問題が大部分を占めています。記述問題が少ない分、文章も選択肢も文字が多く、迅速な文章読解と選択肢の正誤判断が求められています。神奈川県に限らず、様々な都道府県の入試問題などで、時間を意識しながら問題演習を数多く行うことが得点力アップにつながります。資料の読み取りは、文章の内容を理解し、グラフなどの資料から情報を読み取ったうえで、それを説明する力が必要です。その練習と併せて、記述力を養うために、根拠や考えを一定の長さの文で記述する練習や、自分の考えや文章の要旨をまとめる練習も行いましょう。
理科
実験とその結果,条件の違いなどをもとにして、「その場で考える」という傾向の問題が多くなっています。その場で考えるといっても知識が不要というわけではありません。十分な知識や解法の習得の上にあるものです。難度がとても高いというわけではありませんが、これまでに身につけている知識を生かせるか、習得した解法を応用できるか、仮説を検証できるか、そのために比較すべき対象は何かということをその場で見つけたり、判断したりできなくてはいけません。情報収集と情報処理の能力が求められている現行の指導要領の要素を色濃く反映しています。実験結果はその問題でしか使いませんが、考え方・仮説の立て方・検証の仕方はどの問題でも共通です。暗記すべき事柄は定期テストで確認し、考え方や分析力は特訓教材で身につけましょう。そして、自分の実力を試すチャンスとして模擬試験を活用していきましょう。
社会
図表、グラフなどの資料を活用して思考、判断する技能を問われています。教科書の重要語句を順に覚えるだけでは対応しきれません。地理や公民はもちろん、歴史でも重要語句と一緒に掲載されている資料も関連付けて確認するようにしましょう。また、大量の情報を短時間で処理する力があると非常に有利です。問題数は減少しましたが、30題を超える設問数のため、普段から問題を解く際には時間配分に注意するようにしましょう。中学校で学習した知識を元に、神奈川県の過去問にこだわらず様々な問題に触れておき、実戦力を高めることが今後の対策となるでしょう。
4. 面接について
面接は全校とも個人面接で、2人以上の教員で行い、時間は受験者1人あたり10分程度です。面接の評価観点には「共通の観点」と「学校ごとの観点」があり、「共通の観点」は①中学校での教科等への学習意欲、②それ以外の活動への意欲、③志望動機を問うもので、全校で質問されます。「学校ごとの観点」は、高校入学後の教科や活動への意欲や将来の展望など、学校ごとに設定した観点で質問されます。学科別に傾向を見ると、「高校での教科・教科以外への意欲」、「面接の態度」は多くの学校で評価されていますが、「学校の特色理解」は単位制の高校、「将来の展望」は専門学科で質問される傾向にあるようです。「その他」の質問項目には、「受験生の長所・特性」、「専門学科の学習内容に対する興味・関心・意欲」、「コミュニケーションに対する意欲」などがありました。5. 特色検査について
特色検査には、大きく分けて「自己表現検査」と「実技検査」があります。令和2年度入試では、表6の学校が特色検査を行いました。表6 特色検査実施状況(※クリエイティブスクールを除く)特色検査実施状況(※クリエイティブスクールを除く)
※1 声楽は相模原弥栄のみ ※2 市立横浜商業以外は共通種目もあり