2022年(令和4年)4月号_神奈川県公立高校入試版
【令和4年度入試はこう実施された!!】
「ペンギン入試レポート4月号(神奈川県公立高校入試版)」では、令和4年度神奈川県公立高校入試の結果についてお知らせします。ぜひ、ご一読いただきお役立てください。
高校入試で合格を勝ち取ることができるように、臨海セミナー職員一同、できる限りの応援をさせていただきます。入試に関するご相談などがございましたら、臨海セミナーの各教室までお問い合わせください。
1、令和4年度入試の選抜結果について
令和4年度入試において、全日制の課程では146校で共通選抜が行われました。全日制募集人員40,530名に対して志願変更締切時の確定志願者数が47,513名、確定志願倍率1.17倍(昨年度1.18倍)、受験者数が47,036名、受験倍率1.16倍(同1.16倍)、合格者数が39,093名、実質倍率1.20倍(同1.19倍)となりました。全体として、昨年度と比べ、大きな倍率の増減はありませんでした(※表1参照)。
表1 共通選抜実施状況 (全日制)
2、募集人員について
神奈川県公立高校入学者選抜の募集定員は、県教育委員会より例年10月に発表されます。令和4年度入試では、令和4年3月の公立中学校卒業予定者数が昨年と比べ、1,920名増加することを踏まえ、全日制の課程では828名の募集定員増となりました。全日制の課程で、募集定員に変更があったのは次の学校です。
■学科等の改編
■募集定員を増やした学校
■募集定員を減らした学校
3、選抜方法について
共通選抜に使われる資料は、第1次選考では①調査書の評定、②学力検査の得点、③面接の得点、④特色検査の得点(一部の学校)、第2次選考では①学力検査の得点、②面接の得点、③特色検査の得点(一部の学校)となります。各高校は、これらの資料の得点に各校で定めた比率をかけて合計した数値Sを求め、その値の高い順に合格を出します。第1次選考では募集人員の90%までを、第2次選考では残りの10%を選考します。
<p表2は、令和4年度共通選抜での各比率の採択状況を示しています。第1次選考では4:4:2、つまり調査書の評定と学力検査を同等に重視する比率を採択した学校が最も多く、次いで、3:5:2、5:3:2となりました。第2次選考で最も多く採択された比率は8:2、次いで7:3であり、多くの学校・学科で学力検査を重視する傾向が見られました。表2 令和4年度共通選抜各資料の比率
表3は、令和4年度入試で調査書の評定または学力検査を重点化した学校数を示しています。重点化とは、選抜において特定の教科を重視するために、調査書の評定や学力検査の得点に一定の範囲で比重をかけて計算することをさします。国際科や外国語コースで、英語の評定や英語の入試得点を2倍し、英語の得意な受験生の総合成績を高くなるようにするなどがそれにあたります。令和4年度入試では、調査書の評定のみを重点化した学校が最も多くみられました。
表3 重点化を行った学校
4、学力検査について
令和4年度入試共通選抜の合格者の教科別平均点は表4の通りです。
表4 共通選抜(全日制の課程)合格者の教科別平均点 (満点は100点)
※令和4年度は追検査の受験者を含む
【令和4年度入試の出題傾向と今後の対策】
英語
まずは教科書で習う単語や文法の知識をきちんと身につけましょう。身近な物を表す英単語は小学校の英語の教科書にも多く掲載されています。近年英単語を記述して解答する問題が減少していることから、単語については書くことだけでなく、より多くの単語を「読んで」「聞いて」理解できることが重視される傾向になりつつあるようです。
入試で解く力を身につけるには、多くの問題や英文に触れることが大切です。文法事項を扱う問題への対策としては、英文がどのような構造になっているかを常に意識しながら読むことを心掛けましょう。そうすることで問4(ウ)(エ)のように、与えられた単語を並べ替えると複数のパターンの英文が考えられるような問題においても力を発揮できるでしょう。 また、問6~8の読解問題では、問題を解くのに必要な情報を、整理しながら取捨選択していく練習も重要です。
国語
まずは小中学校で学んだ漢字を、熟語や文の形で練習しましょう。また、助詞や助動詞の識別をはじめとした文法事項や、語句知識の復習も行いましょう。小説文では登場人物の発言や行動に着目して心情をとらえながら読む練習、論説文では筆者の主張や要旨をつかむ練習が必要です。古文は「誰が何をしたのか」を把握しながら読む練習をしましょう。資料の読み取りは、文章内容を理解した上で、資料から読み取った情報を説明する力が必要です。根拠や考えを一定の長さの文で記述する練習や、自分の考えや文章の要旨をまとめる練習をしましょう。
神奈川県公立高校の入試の国語は、記号選択問題が大部分を占めています。記述問題が少ない分、文章も選択肢も字数が多く、迅速な文章読解と選択肢の正誤判断が求められています。神奈川県に限らず、様々な都道府県の入試問題などを使って、時間を意識しながら問題演習を数多く行うことが得点力アップにつながります。
数学
全体を通して、難度の高い問題の配点が大きいため、基本的な問題で素早く正解していくことはもちろんですが、優先して時間配分すべき問題を見極め、難度の高い問題についても着実に得点していきましょう。模擬試験の際だけでなく日常的に制限時間を意識して、演習に取り組む習慣をつけてください。新しい解法に出会った際は類題を解くなど反復しましょう。1問でも多く問題に触れることで、自信へとつながります。
理科
知識や解法を正しく習得した上で、そこから更に思考する問題がより多くなりました。知識を生かし、習得した解法を応用し、仮説を検証できるか、そのために行うべき実験は何か、その場で判断しなければなりません。暗記すべき事柄は定期テストで確認し、応用力や分析力は特訓教材で身につけましょう。そして、自分の実力を試すチャンスとして模擬試験を活用していきましょう。
社会
社会は暗記事項が多い印象はありますが、近年の入試問題を見ると、地図・表・グラフ・絵などさまざまな資料を見て考える問題が増えています。このことから入試では、知識だけではなく、問題文からどの資料を見るかを判断し、資料から解答に必要な情報を正しく引き出す力も求められていることがわかります。高得点を取るためには、用語と一緒に関連のある資料も覚えることと、資料を活用する問題を数多く解いて慣れておくことが必要です。
5、面接について
面接は全校とも個人面接で、2人以上の教員で行い、時間は受験者1人あたり10分程度です。面接の評価観点には「共通の観点」と「学校ごとの観点」があり、「共通の観点」は①中学校での教科等への学習意欲、②中学校での教科等以外の活動への意欲、③志望動機を問うもので、全校で質問されます。「学校ごとの観点」は、①高校での教科・科目等に対する学習意欲、②高校での教科・科目等以外の活動に対する意欲、③学校・学科等の特色の理解、④将来の展望、⑤面接の態度など、学校ごとに設定した観点で質問されます。
6、特色検査について
特色検査には、大きく分けて「自己表現検査」と「実技検査」があります。自己表現検査実施校のうち、学力向上進学重点校と学力向上進学重点校エントリー校では、県が作成する「共通問題」と「共通選択問題」を採択しています。令和3年4月から新たに横浜国際が学力向上進学重点校エントリー校に指定されたことにより、「共通問題」「共通選択問題」実施校は18校となりました。
表5 特色検査実施状況 (※クリエイティブスクールを除く)
※1 声楽は相模原弥栄のみ
※2 市立横浜商業以外は共通種目もあり
※3 横浜国際の国際バカロレアコースは、自分の考えを150~200字程度の英語で記述する問題を含む
7、令和5年度入試に向けて
令和5年度入試に向け、臨海セミナーでは、今年の入試結果と入試問題の分析を行ったうえで、受験生一人一人の状況、志望校に合わせた学習指導・進路指導をしてまいります。今後も臨海セミナーの学習指導・進路指導にご期待ください。