令和５年度入試はこう実施された！！

「ペンギン入試レポート４月号（神奈川県公立高校入試版）」では、令和５年度神奈川県公立高校入試の結果についてお知らせします。ぜひ、ご一読いただきお役立てください。

高校入試で合格を勝ち取ることができるように、臨海セミナー職員一同、できる限りの応援をさせていただきます。入試に関するご相談などがございましたら、臨海セミナーの各教室までお問い合わせください。

１、令和５年度入試の選抜結果について

令和５年度入試において、全日制の課程では１４６校で共通選抜が行われました。全日制募集人員４０,９３０名に対して志願変更締切時の確定志願者数が４８,０８２名、確定志願倍率１.１７倍（昨年度１.１７倍）、受験者数が４７,６６７名、受験倍率１.１６倍（同１.１６倍）、合格者数が３９,４６３名、実質倍率１.２０倍（同１.２０倍）となりました。ここ数年を通して、大きな倍率の増減は生じていません（※表１参照）。

表１　共通選抜実施状況　（全日制の課程）

２、募集定員について

神奈川県公立高校入学者選抜の募集定員は、県教育委員会より例年１０月に発表されます。令和５年度入試では、令和５年３月の公立中学校卒業予定者数が昨年と比べ、８７０名増加することを踏まえ、全日制の課程では４００名の募集定員増となりました。全日制の課程で、募集定員に変更があったのは次の学校です。

■募集定員を増やした学校

■募集定員を減らした学校

３、選抜方法について　

共通選抜に使われる資料は、第１次選考では①調査書の評定、②学力検査の得点、③面接の得点、④特色検査の得点（一部の学校）、第２次選考では①学力検査の得点、②面接の得点、③特色検査の得点（一部の学校）となります。各高校は、これらの資料の得点に各校で定めた比率をかけて合計した数値Ｓを求め、その値の高い順に合格を出します。第１次選考では募集定員の９０％までを、第２次選考では残りの１０％を選考します。

表２は、全日制高校の令和５年度入試での各比率の採択状況を示しています。第１次選考では４：４：２、つまり調査書の評定と学力検査を同等に重視する比率を採択した学校が最も多く、次いで、３：５：２、５：３：２となりました。第２次選考で最も多く採択された比率は８：２、次いで７：３であり、多くの学校・学科で学力検査を重視する傾向が見られました。

表２　令和５年度入試の各資料の比率（全日制の高校）

表３は、令和５年度入試で調査書の評定または学力検査を重点化した学校数を示しています。重点化とは、選抜において特定の教科を重視するために、調査書の評定や学力検査の得点に一定の範囲で比重をかけて計算することをさします。国際科や外国語コースで、英語の評定や英語の入試得点を２倍し、英語の得意な受験生の総合成績を高くなるようにするなどが重点化にあたります。

表３　令和５年度入試で重点化を行った学校

４、学力検査について

令和５年度入試共通選抜の合格者の教科別平均点は表４の通りです。

表４　共通選抜（全日制の課程）合格者の教科別平均点　（満点は１００点）

※令和４年度・令和５年度は追検査の受験者を含む

令和５年度入試の出題傾向と今後の対策

英語

まずは教科書に載っている単語や文法の知識をきちんと身につけましょう。文意を理解して文を完成させるという問題も多く出題されているので、英語を「聞いて」、「読んで」理解する力をつけておく必要があります。また、問題を解くための力を身につけるために、多くの問題や英文に触れましょう。入試問題のうち、文法事項を問うものの対策として、複雑な構造の文はどのような文法が使われているかなどを理解することを意識しましょう。また、問6～8の読解問題では、問題を解くのに必要な情報を取捨選択していく練習や、グラフや表といった資料に関する情報の扱い方を知ることも重要です。模擬試験などで繰り返し入試に似た形式の問題に触れておく必要があります。

国語

まずは小中学校で学んだ漢字を、熟語や文の形で練習しましょう。また、助詞や助動詞の識別をはじめとした文法事項や、語句知識の復習も行いましょう。小説文では登場人物の行動などに着目して心情をとらえながら読む練習、論説文では筆者の主張や要旨をつかむ練習が必要です。古文については「誰が何をしたのか」を把握しながら読む練習をしましょう。資料の読み取りは、文章内容を理解した上で、資料から読み取った情報を説明する力が試されます。指定語句などを手掛かりに、根拠や考えを一定の長さの文で記述する練習をしましょう。神奈川県公立高校入試の国語は、記述問題が少ない分、文章も選択肢も字数が多く、迅速な文章読解と選択肢の正誤判断が求められています。神奈川県に限らず、様々な都道府県の入試問題などを使って、時間を意識しながら問題演習を数多く行うことが得点力アップにつながります。

数学

解くためにかかった時間と、より適切な解法を考えることを意識しましょう。解くスピードを上げるためには、日頃から制限時間を設けて取り組む必要があります。また、正解した問題であっても解説に目を通し、より速く解く方法はないか、その解き方に至る根拠が何だったのかを確認することは必須です。キーワードや図を解法と結び付けて覚えられるとスムーズに問題を解けるようになるので、図や表・グラフを積極的に利用する習慣をつけてください。また、ただ解説を読むだけでは解き方は身につかないので、実際にその解法で解くようにしましょう。

理科

例年、知識や公式の暗記のみで解答できる問題は少なく、単純そうに見えてもよく読まなければ正答にたどり着けない問題が多く出題されます。応用問題を正答できるようになることが周りとの得点差につながりますので、一問一答を解ききれたら、特訓教材や模試などの応用問題にも多く触れ、得点力をつけましょう。

社会

どの大問でも資料を読み取る問題が出題されており、資料と知識を結び付けて考える力が必要です。また資料を活用するためには、知識だけでなく、読解力、計算能力も必要です。そして、早く正確に解くためには、どの選択から考えるべきかを判断する力も求められます。

知識事項は地理・歴史・公民のいずれの分野でも因果関係を意識して覚えていくことが必要です。さらに資料を読み取る問題に対応するためには、実際に多くの問題を解き、経験を積み、資料の注目すべきポイントの処理の仕方などの解き方を身につけることが重要です。

５、特色検査について

令和５年度入試では、下記の学校・学科で特色検査を実施しました。

表５　令和５年度入試特色検査実施状況（全日制の課程）　（※クリエイティブスクールを除く）

※１　声楽は相模原弥栄のみ
※２　市立横浜商業以外は共通種目もあり
※３　横浜国際の国際バカロレアコースは、自分の考えを１５０～２００字程度の英語で記述する問題を含む

６、令和６年度入試に向けて

神奈川県教育委員会は、令和４年７月、令和６年度以降での入試の変更点を発表しました。主な変更内容は下記のとおりです。

• ①定通分割選抜の実施時期を変更。
• ②定通分割選抜の二次募集を廃止。
• ③共通選抜、定通分割選抜において、すべての受験生に一律で実施する面接を廃止。面接は特色検査に位置づけを変更し、必要な高校・学科等が実施（※ただし、クリエイティブスクールは面接を必須とする）。
• ④共通選抜（全日制・定時制）の第２次選考において、調査書の各教科の第３学年の「主体的に学習に取り組む態度」の評価を活用。

正式には、例年６月以降に県教育委員会より発表される「神奈川県公立高等学校の入学者の募集及び選抜実施要領」にて決定となります。詳細が発表され次第、「ペンギン入試レポート」等でお知らせします。

臨海セミナーでは、入試制度変更の中、受験生の皆様が合格を勝ち取れるよう、正確かつ迅速な入試情報の提供に努めてまいります。　今後も臨海セミナーの学習指導・進路指導にご期待ください。