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2024年(令和6年)5月号_神奈川県私立高校入試版

公開日:2024年05月02日

私立高校入試の制度を知ろう

「ペンギン入試レポート令和6年5月号(神奈川県私立高校入試版)」では、私立高校の受験の制度についてまとめました。私立高校の受験は、公立高校を第一志望とする場合にも併願として考えておくことが不可欠です。私立高校を第一志望に考えている方はもちろんのこと、公立高校を第一志望に考えている方も、是非ご一読いただき、今後の志望校決定にお役立てください。

【1】私立高校を受ける意義について

近年、公立高校受験において、当日の入試得点を重視する傾向が強まっており、内申だけでは結果を想像することが非常に難しくなってきています。また、近年の経済情勢により公立高校人気が高まっており、募集人員に対する受験者数も増える傾向にあります。入試では、ある程度内申に余裕がある生徒でも、当日の体調等によって、普段の力を十分に発揮できない場合も考えられます。したがって、公立高校が第一志望であっても、必ず併願の私立高校を受験するようにしてください。公立高校入試前に私立高校の合格を得ておくことで気持ちに余裕を持って公立高校入試を迎えることができます。

以前は入学金や学費など高いイメージがあった私立高校ですが、現在は国や県の奨学金制度が整っており、ご家庭の負担も大きく軽減されるようになっていますので、必ず私立高校の併願をお考えください。

【2】私立高校の入試形態について

私立高校入試の選抜方法は、推薦入試、書類選考入試(専願、併願)、一般入試(専願、併願、オープン・フリー)に分かれています。多くの高校は、これらの中から2種類以上の方法で選考を実施しています。

(1)推薦入試
推薦入試は神奈川・東京では1月22日から実施されます。受験する私立高校を第1志望としている生徒が対象で、合格したら必ず入学することが条件になります。出願時に中学校長の推薦書が必要となります。試験は面接のみとしている高校が多く、原則学科試験はありません。ただし、一部の高校で作文や適性検査が課される場合があります。ほとんどの高校の場合、12月中旬に中学校と私立高校との間で入学相談が行われ、内申等の基準を満たしており、かつ条件に引っかかっていなければ、不合格となる可能性はほとんどありません。

※難関校の推薦入試
早稲田大学高等学院や青山学院等の難関校でも推薦入試が行われています。ただし、事前の入学相談で合格の可能性が決まるということはなく、出願資格を満たす受験生の中で、さらに選抜されていくことになります。たとえば、早稲田大学高等学院は内申基準が中3の9科内申40(令和6年度入試)で、出願者調書や活動記録報告書を基にした30分にわたる面接で合否が決定されます。また、慶應義塾や早稲田実業のように、内申だけでなく、スポーツや文化活動で実績を残したことを推薦入試の出願条件とする高校もあります。内申点や部活動の実績など、出願資格をクリアしている場合はぜひ積極的にチャレンジしてみましょう。

(2)書類選考入試
面接や学科試験を課さず、調査書などの出願書類のみで選考する入試です。専願者のみを書類選考の対象にする場合と、併願者も書類選考を受け付ける場合とがあります。ただし、併願で書類選考を採用している高校も、対象を一部のコースのみとするなど、制限を設けている場合がありますので、高校ごとに募集要項で確認する必要があります。

12月中旬に中学校と私立高校との間で入学相談が行われ、内申等の入学相談基準を満たしており、かつ条件に引っかかっていなければ、大きな心配はありません。ただし、一部の高校では予め基準を設定せずに、入学相談を行っています。この場合、高校は入学相談者の中から成績等を見て合格者を決定していくため、入学相談の結果が判明した時点で出願資格の有無が決定します。入学相談が通らなかった場合は、その時点でまだ入学相談を受け付けている別の学校に再度、中学校の先生から入学相談に持っていっていただく流れになります。

(3)一般入試
推薦入試、書類選考入試以外の入試です。神奈川・東京では2月10日から実施され、多くの場合、学科試験が行われます。一般入試には次の3つの受験パターンがあります。

①専願
受験する高校を第1志望としている生徒が対象です。推薦入試と比べ、専願の基準を低く設定している高校が多いです。推薦入試同様、12月中旬の中学校と私立高校との間で行われる入学相談で、内申等の基準を満たしており、かつ条件に引っかかっていなければ、よほどのことがない限り不合格となることはありません。

高校によっては、第1志望は「推薦」のみとし、一般入試で「専願」を設けない場合もあります。

②併願
他の高校を第1志望とし、第2志望としてその私立を受ける、いわゆる「すべり止め」としての受験です。公立高校の併願のみ認める高校と、私立高校との併願も可能な高校とがあります。一部の私立高校を除き、12月中旬に中学校と私立高校との間で入学相談が行われます。内申基準は推薦や一般入試専願と比較して高くなる傾向にありますが、第1志望校の入試対策をしっかりと進めつつ、併願する受験校の入試問題を事前にみて自分のできる範囲の問題を精一杯こなせば大きく心配のある入試ではありません。

③オープン・フリー
内申等による事前の入学相談がなく、主に入試当日の得点で合否を決定する方法です。難関高校をはじめ、多くの私立高校でオープン入試・フリー入試の枠を設けています。臨海セミナーでは、このオープン入試制度を利用し、入試日程を考慮しながら複数校の受験をする生徒が増加しています。公立高校より難度の高い私立高校をチャレンジしたい受験生や、自分自身の実力を試したい受験生はぜひ積極的にチャレンジしてみるとよいでしょう。

【3】入学相談制度について

前述のように、オープン入試・フリー入試以外の入試では、多くの高校で「入学相談制度」を設けています。今後の受験校決定において非常に重要な内容となりますので、必ず以下の内容をご確認ください。

◇入学相談制度とは
私立高校側があらかじめ合否の基準を提示する制度です。各私立高校は毎年、中学校の成績をもとにした「入学相談基準」を設定し、公立中学校に提示します。その後、公立中学校では私立高校から提示された「入学相談基準」と生徒の成績を見ながら、進路指導を開始します。2学期(後期)の定期テストが終了し、中学校での成績が確定すると、三者面談が実施されます。三者面談で私立の受験校が決まると、中学校は私立高校に提出する資料を作成します。その資料は12月15日より数日間のうちに私立高校に提出され、私立高校は12月17日頃までに公立中学校に合格の可能性を○×△で返答します。○というのは「基準に達しており欠席日数にも問題がないので合格の可能性が非常に高い」という意味であり、×は「基準に達していないのでお預かりできません。」という意味、△は「基準に少し足りないので当日のテスト結果で合否を決めます」という意味となります。しかし、入学相談で○をいただいていても合格が100%保証されるものではありません。試験結果が極端に悪いと、可能性は低いものの不合格になってしまう場合や、高校側から厳重注意を受ける場合もあります。入試当日の服装や行動などにも注意が必要です。入学相談で○をいただいていたとしても気を緩めることなく、入試当日までしっかり勉強に取り組んでください。

◇私立高校の入学相談のスケジュール
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【4】入学相談基準における加点制度や条件について

入学相談制度を採り入れている多くの私立高校では、入学相談基準において「加点制度」や「条件」が設定されています。

加点制度とは、予め高校が定めた項目を満たす場合には、内申合計点に一定のポイントを加算するという制度です。加点項目の代表的なものには次のようなものがあります。

  • 1.英語検定・数学検定・漢字検定などの検定取得
    (3級以上が基本。中には準2級以上や2級以上で設定している私立高校もあり)
  • 2.出席状況
    (中学3年間皆勤など)
  • 3.部活動の実績
    (市大会・県大会・全国大会などの団体・個人の実績や部長・副部長など)
  • 4.生徒会活動
    (生徒会長・生徒会副会長・書記など)
  • 5.委員会活動
    (委員会委員長や副委員長など)
  • 6.課外活動
    (ボランティア・社会福祉活動など)
  • 7.保護者・兄弟が卒業または在籍

条件には、主に下記のようなものがあります。高校が定めた欠席・遅刻・早退日数等の条件を超過するなどで、内申基準をクリアしていても、入学相談で通らないケースもあります。入学相談で高校の先生がどのように判断するかは、個々の生徒の状況により異なりますので、心配な点がある場合は、お早めにご相談ください。

  • 1.欠席日数
    (3年間合計・各学年・中3のみなど様々な設定あり)
  • 2.遅刻・早退日数
    (3年間合計・各学年・中3のみなど様々な設定あり)
  • 3.特定の教科で5段階の評定で1や2不可
    (上位校では評定3がある場合は不可の場合もあり)

【5】内申の重要性

先述のように、中学校の進路指導は私立高校が設定している入学相談基準を目安におこないます。中学校では全員が確実に合格できることを念頭に進路指導を進めるため、内申点に加点をしたうえで入学相談基準に達しない場合は、その高校の受験を取りやめるように勧めてくることも多くあります。また、「条件」の項目で述べたように、欠席・遅刻・早退が多いことや評定に1、2があることで出願に不利になることもあります。こうしたことから、内申点は公立高校受験だけでなく、私立高校の受験にも非常に重要なものです。普段から、学校での授業態度や提出物等に気をつけ、小テストや定期テストできちんと得点できるよう意識する必要があります。

【6】私立高校による学校説明会・イベントについて

私立高校では、受験生・保護者を対象とした学校説明会やイベントを行っています。高校の指導方針や在校生の雰囲気を知る絶好の機会ですので、私立高校が第一志望の方はもちろん、公立高校を第一志望と考えている方も、早い段階から積極的に参加し、3年間通いたいと思える学校を志望校とするようにしてください。なお、高校によっては学校説明会への参加が加点や出願条件となっている場合もあります。

各高校の学校説明会やイベントについては、今後のペンギン入試レポートでもお伝えしてまいりますが、予約が必要な場合もありますので、参加を希望される場合は必ず事前に各学校のHPでご確認ください。

【7】令和7年度入試に向けて

入試で合格をつかむためには、まず調査書の内申点をとれるように、日々学校の定期テストできっちり点数をとり、宿題や提出物などの提出もしっかりとおこなう等、前向きな姿勢で学校の授業に取り組む必要があります。臨海セミナーでは常にその重要性について受験生の皆様にお伝えしながら学習指導にあたっております。

志望校合格という15歳の一つの大きな夢の実現に向けて、常に正確かつ豊富な入試情報をもとにした進路指導、出題傾向をおさえた授業、やる気を引き出す授業を行ってまいります。今後とも、臨海セミナーの学習指導・進路指導にご期待ください。

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