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2024年(令和6年)6月号_神奈川県公立高校入試版
神奈川県公立高校入試の仕組みを知ろう
「ペンギン入試レポート6月号(神奈川県公立高校入試版)」では、公立高校入試制度をまとめました。早い時期から入試の仕組みを知り、意識を高めることができるかどうかで結果は大きく変わります。ぜひ、ご一読いただきお役立てください。
高校入試で合格を勝ち取ることができるよう、臨海セミナー職員一同できる限りの指導をさせていただきます。入試に関するご相談などがございましたら、ご遠慮なく臨海セミナーの各教室までお問い合わせください。
1、選抜資料の扱いについて
(1)調査書について
調査書の「学習の記録」のうち、各教科の「評定」と、教科ごとの「観点別評価」のうちの「主体的に学習に取り組む態度」が選抜資料となります。
①調査書の学習の記録における評定
第2学年と第3学年の9教科の評定を、次の計算式にしたがって点数化します。
2年3学期※1(5段階×9教科)+3年2学期※2(5段階×9教科×2)=135点満点
※1二期制では後期(3月成績)
※2二期制では同時期(12月成績)
選考にあたり、評定を重点化する学校・学科もあり、3教科の範囲で各教科の評定を2倍まで重点化することができます。クリエイティブスクールは調査書の評定は資料とせず、教科ごとの「観点別学習状況の評価」を活用します。
②調査書の学習の記録における観点別学習状況の評価
各教科における第3学年の「主体的に学習に取り組む態度」の評価を次の表により数値に換算します。
3年2学期(3段階×9教科)=27点満点
選考にあたり、観点別学習状況の評価を重点化する学校・学科もあり、3教科の範囲で各教科の観点別学習状況の評価を2倍まで重点化することができます。
(2)学力検査について
学力検査は、全日制の課程ではクリエイティブスクールを除く全ての学校で実施されます。実施科目は原則、国語・社会・数学・理科及び英語の5教科です。記号選択式問題の解答は「マークシート方式」となります。
①重点化の例
英語と国語を2倍する学校を受験する場合、上段の得点を取ったとしても、下段の得点が選抜に使われます。
(3)特色検査について
特色検査は、各学校の「入学者の受入れに関する方針※(アドミッションポリシー)」に照らして、調査書や学力検査では測ることが難しい総合的な能力や特性をみるために実施されます。特色検査には、①実技検査、②自己表現検査、③面接の3種類があります。
①実技検査
特色ある学科・コース等への志願者に対して、学科等の特性に応じた資質・能力、適性を把握するために実施されます。美術系の学科ではデッサン、音楽系の学科では声楽や演奏、体育系の学科では選択した種目での技能検査などがあります。
②自己表現検査
各学校の特色ある教育活動に応じた多面的な資質・能力や特性等を把握するために実施されます。自己表現検査には、文章や資料を読んで解答する記述型の問題、与えられたテーマについて自分の考えを述べるスピーチ型の問題、グループ討論などがあります。
平成30年度までは、自己表現検査の問題は実施校が独自に作成していましたが、平成31年度からは県が作成する「共通問題」と「共通選択問題」が導入され、初年度は横浜翠嵐高校や湘南高校など7校がこの問題で自己表現検査を実施しました。令和2年度入試からは、「共通問題」・「共通選択問題」の導入校がすべての学力向上進学重点校と学力向上進学重点校エントリー校に拡大されました。令和6年度入試での共通問題・共通選択問題実施校は下記のとおりです。なお、「共通問題」と「共通選択問題」については、一部マークシート方式の解答用紙が使用されます。
~ 共通問題・共通選択問題を使用する高校 (令和6年度入試) ~
③面接
各学校の特色ある教育活動に応じた特性や適性、総合的な意欲等を把握するために実施されます。実施形態は個人面接とし、受験生1名に対して2名以上の試験官で行います。実施時間は受験生1名あたり10分から20分程度の範囲で各学校が設定します。実施にあたり、受験生が記載した面接シート※1と調査書の記載内容を参考とします。面接の評価においては、「入学希望の理由」を共通の観点とし、その他の観点は各学校で定めます※2,3。
2、選抜資料の比率と選考について
選抜は、第1次選考と第2次選考に分けて行われます。第1次選考では、調査書の評定・学力検査の得点・特色検査の得点(実施校のみ)から求める「S1値」により募集人員の90%までを選考します。残りの人員は第2次選考として、調査書の各教科における第3学年の「主体的に学習に取り組む態度」の評価・学力検査の得点・特色検査の得点(実施校のみ)で算出される「S2値」により選考します。
S1・S2値を算出するための各選抜資料の比率は、それぞれが2以上の整数、かつ合計が10となるよう、各校が設定します。また、特色検査(実施校のみ)の比率は、5以下の整数に設定し、合計の10に加えられます。
(1)合計数値の算出と選考の方法
①調査書の評定・学力検査の得点・調査書の各教科における第3学年の「主体的に学習に取り組む態度」の評価・特色検査の得点をそれぞれA~Dとする。
調査書の評定A(135点満点)=(2年9科)+(3年9科)×2
学力検査B(500点満点)=5科×100
「主体的に学習に取り組む態度」の評価C(27点満点)=3年9科×3
特色検査D=特色検査の得点(実施校のみ)
②A~Dを100点満点に換算した数値をa~dとする。
調査書の評定A(135点満点)÷135×100 ⇒100点満点【a】
学力検査B(500点満点) ÷500×100 ⇒100点満点【b】
「主体的に学習に取り組む態度」の評価C(27点満点)÷27×100 ⇒100点満点【c】
特色検査D ⇒100点満点【d】
③第1次選考(S1値)
a、b、dに各校が定めた比率を乗じてS1を算出、募集人員の90%までS1に基づき選考する。
④第2次選考(S2値)
b、c、dに各校が定めた比率を乗じてS2を算出、残りの人員をS2に基づき選考する。
S1・S2値は特色検査を実施しない場合は1,000点満点、特色検査を実施した場合は1,100~1,500点満点となります。
(2)S1値による選抜の例①(特色検査を実施しない場合)
〔セミ夫くんの各資料の得点〕
■調査書の評定合計(A) 105/135
■学力検査の得点の合計(B) 360/500
〔セレ菜さんの各資料の得点〕
■調査書の評定合計(A) 90/135
■学力検査の得点の合計(B) 420/500
それぞれ100点満点に換算(※小数第三位を四捨五入)
〔セミ夫くん〕
調査書の評定(a) =105÷135×100=77.78
学力検査(b) =360÷500×100=72
〔セレ菜さん〕
調査書の評定(a) =90÷135×100=66.67
学力検査(b) =420÷500×100=84
各選抜資料の比率(f:g=調査書の評定:学力検査)
A高校 3:7 学力検査重視
B高校 5:5
C高校 7:3 評定重視
A高校(f:g=3:7)を受験する場合
=77.78×3+72×7
=737.34
=66.67×3+84×7
=788.01
セミ夫くんとセレ菜さんのS1値を比べると、学力検査得点の高いセレ菜さんがセミ夫くんのS1値を大きく上回っています。
B高校(f:g=5:5)を受験する場合
=77.78×5+72×5
=748.90
=66.67×5+84×5
=753.35
セミ夫くんとセレ菜さんのS1値を比べると、依然として学力検査得点の高いセレ菜さんがセミ夫くんのS1値を上回っています。
C高校(f:g=7:3)を受験する場合
=77.78×7+72×3
=760.46
=66.67×7+84×3
=718.69
セミ夫くんとセレ菜さんのS1値を比べると、調査書の評定の高いセミ夫くんがセレ菜さんのS1値を上回っています。
(3)S1値による選抜の例②(特色検査を実施する場合)
例①に加え、2人の特色検査の得点を以下のように仮定してみます。
特色検査の得点(D)75/100
特色検査(d)=75
〔セレ菜さん〕
特色検査の得点(D)60/100
特色検査(d)=60
A高校(f:g=3:7)が特色検査を実施した場合
例①で紹介したA高校が特色検査を実施した場合の、セミ夫くんとセレ菜さんのS1値を算出します。
=77.78×3+72×7+75×5
=1112.34
=66.67×3+84×7+60×5
=1088.01
セミ夫くんとセレ菜さんのS1値を比べると、特色検査得点の高いセミ夫くんがセレ菜さんのS1値を上回り、特色検査を実施しない場合との逆転が起きています。
=77.78×3+72×7+75×2
=887.34
=66.67×3+84×7+60×2
=908.01
セミ夫くんとセレ菜さんのS1値を比べると、前述のような逆転現象は起きず、特色検査を実施しない場合と同様、学力検査得点の高いセレ菜さんの方が合格の可能性が高くなります。
これらの例から分かるのは、受験する高校のf:gの比率により、S1値は大きく変わるということです。また、特色検査実施校を受験する場合には、その比率も重要となります。したがって、志望校がどのような比率で選抜を行うかをよく知っておくことが大切です。 参考に、比率の組み合わせによる調査書の評定と学力検査の関係表を掲載します。
下記の表は調査書の評定1点分に相当する学力検査の得点を示しており、例えば、評定・学力検査の比率が「3:7」の高校を受験する場合、内申点の合計が自分よりも5点高い受験生と同じS1値を取るには、学力検査において1.59点×5点=7.95点高く得点する必要があることが分かります。
第1次選考における比率の組み合わせによる調査書の評定と学力検査の関係(※評定・学力検査を重点化しない場合)
3、今後の公立高校改編について
神奈川県公立高校で令和7年度以降に統廃合・学科の改編や入試の変更が予定されている学校は下記の通りです。
【全日制の課程】
◇学科の改編
◇統廃合の予定
【定時制の課程】
◇募集停止
◇学科の改編
4、私立併願校について
同レベルの学力の受験生が集まる公立高校入試は、少しの得点ミスにより合格が厳しくなる場合があります。また、入試当日の体調等によって、内申に余裕がある生徒でも実力が出し切れないこともあります。したがって、公立高校が第一志望であったとしても、必ず私立高校を併願で受験するようにしてください。先に私立高校を受験することで入試当日の緊張感に慣れることができますし、公立入試前に私立高校に合格することで気持ちに余裕を持って公立高校入試を迎えることができます。
併願の私立高校は公立高校が不合格となった際には進学することになる高校です。まれに、公立高校合格発表後に併願した私立高校への進学を取り止め、別の私立高校を受験したいという生徒がいます。そのようなことがないよう、必ず事前に学校説明会などに参加し、校風や教育方針等を見極めたうえで、3年間通いたいと思える高校を受験校とするようにしてください。
また、経済的な事情から私立高校への進学が難しく、公立高校のみを受験するというご家庭があります。入学金や学費等に関しては、国や県からの補助金(返還不要)を利用することで進学が可能な場合も少なくありません。経済的な事情により私立高校の受験を迷われている場合には、ご遠慮なくお通いの教室にご相談ください。