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2024年(令和6年)5月号_東京都立高校入試版

公開日:2024年05月01日

東京都立高校入試の仕組みを知ろう

「ペンギン入試レポート5月号(東京都立高校入試版)」では、都立高校入試制度をまとめました。早い時期から入試の仕組みを知り、意識を高めることができるかどうかで結果は大きく変わります。ぜひ、ご一読いただきお役立てください。

高校入試で合格を勝ち取ることができるよう、臨海セミナー職員一同できる限りの指導をさせていただきます。入試に関するご相談などがございましたら、ご遠慮なく臨海セミナーの各教室までお問い合わせください。

1、入試の形態について

都立高校入試には、「推薦による選抜」と「学力検査による選抜」の2種類があります。学力検査による選抜には、まず第一次募集を行い、欠員が生じた場合に第二次募集を行う形式(図①)と、はじめから募集期間を2回に分けて行う形式(図②)があります。推薦入試、第一次募集・分割前期募集、分割後期募集・第二次募集はそれぞれ1校のみの出願ですが、第一次募集・分割前期募集と分割後期募集・第二次募集では1回だけ志願変更を行うことができます。

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2、推薦入試について

<出願について>
1校1コースまたは1科(1分野)に限り出願します。志願変更はできません。志望する同一の都立高校内にある同一の学科内に2科(2分野)以上ある場合(芸術に関する学科を除く)は、第2志望として他の1科(1分野)に限り指定することができます(例1・例2)。ただし、同一の都立高校内に普通科とコース、農業科と家庭科等、複数の学科がある場合は、それぞれ別の学科として扱うため、一方を第1志望とした場合、他方を第2志望に指定することはできません(例3・例4)。令和7年度入試での出願や志望順位の指定に関する規定については、令和6年9月下旬に東京都教育委員会より正式発表される予定です。

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<選抜方法について>
選抜では、調査書、集団討論※1および個人面接、小論文または作文、実技検査、その他学校が設定する検査の各得点を総合した「総合成績」により、合否を判定します。

※1 集団討論は個人面接と合わせ、原則すべての学校(エンカレッジスクールを除く)で実施する検査となりますが、令和3年度入試以降、新型コロナウイルス感染症の影響により取りやめとなっていました。令和6年度入試では必要と判断した高校のみ実施する形となりました。令和7年度入試での集団討論の実施状況については、令和6年9月下旬に東京都教育委員会より発表される予定です。

入学選抜実施方法一覧でチェックするポイントは以下の4つです。

  • ・調査書の点数化には観点別学習状況の評価と5段階評定のどちらが用いられるか
  • ・調査書、個人面接・集団討論の得点
  • ・小論文や作文、実技検査、学校設定検査のいずれを実施するかとその得点
  • ・総合成績の得点と総合成績に占める調査書と各検査の得点比率

<選抜資料について>

◇調査書の扱い
調査書のみを偏重することなく、受験生の能力を多角的に評価することを目的として、総合成績に占める調査書点の割合の上限は50%と定められています。調査書の点数化にあたり、ほとんどの高校で5段階評定を用いていますが、各教科の観点別学習状況の評価(ABC)を用いる学校もあります。

◇自己PRカード
推薦入試では、志願者全員が自己PRカードを提出します。自己PRカードは、都立高校があらかじめ示す「本校の期待する生徒の姿」を参考にして、①志望理由、②中学校生活の中で得たこと、③高校卒業後の進路の3点について、志願者自身が自分の考えを記入して提出するものです。学力検査による入試では、面接を実施する高校の志願者のみ出願時に提出します。面接を行わない高校を志願する場合は、入学手続き後に入学する高校へ提出し、入学後の個人面談等で使用されます。自己PRカードを点数化することはありませんが、面接の際の資料や入試の合否判定資料の一部として活用する資料となります。

◇個人面接
個人面接では、自己PRカードを資料として活用します。志願理由や将来の進路希望などを確かめたり、質問の内容を的確に把握したりと、適切に応答する能力や表現力などをみます。また、これまでの経験を今後の高校生活に活かせる力があるかどうかなどを確認します。

◇集団討論
集団討論では、コミュニケーション能力や協調性、思考力、判断力、表現力などを評価します。与えられたテーマについて自分の考えを明確に述べることができるか、複数名の受験生同士が協力して一つのテーマに関して議論を進めて、結論を導くことができるかなどを確認します。集団討論の形態には、「面接官が司会役となって議論を進めていく形」や「受験生だけで自主的に議論を進めていく形」があります。集団討論は個人面接と合わせ、原則すべての学校で実施していました(※エンカレッジスクールは除く)が、令和3年度入試以降、新型コロナウイルス感染症の影響により取りやめとなっていました。令和6年度入試では、新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置付けが、5類に移行したことに伴い、必要と判断した高校のみ実施する形となりました。令和7年度入試での集団討論の実施状況については、令和6年9月下旬に東京都教育委員会より発表される予定です。

◇その他の検査
各校は小論文または作文、実技検査、その他学校が設定する検査の中から、必ず一つ以上を実施します。ただし、実技検査はコース制、専門学科、総合学科に限り採用することができます。

<文化・スポーツ等特別推薦について>
文化・スポーツ等特別推薦は、文化・スポーツ等において卓越した能力を持つ受験生を対象とした入試です。募集枠は、推薦入試の募集人員の範囲内に「特別枠」を設けています。志願者は、志願先の都立高校の種目等のうちから1種目を指定し、1コース又は1科(1分野)に限り出願します。志願変更はできません。また、同じ都立高校の一般推薦にも出願することができます。選考は、調査書、面接、実技検査、作文などを組み合わせて行います。何を実施するかは学校ごとに異なり、各校ごとに推薦基準も設定されています。令和7年度入試における文化・スポーツ等特別推薦の学校ごとの検査内容及び推薦基準については、令和6年9月下旬に東京都教育委員会より発表される予定です。

<理数等特別推薦について>
理数等特別推薦は、科学分野に高い興味・関心をもち、研究活動などの創造的な活動をめざす生徒の育成を目的に設置された入試制度で、令和4年度から導入されました。志願者は、1校1科に限り出願します。志願変更はできません。また、一般推薦、文化・スポーツ等特別推薦に出願することもできません。出願時に提出した「科学分野等の研究に関するレポート」についての口頭試問、個人面接及び小論文の検査を行います。令和6年度入試では、立川と科学技術の創造理数科で実施しました。

3、学力検査による入試について

<出願について>
都内のどこの高校へも志願することができ、1校1コースまたは1科(1分野)を選んで出願します。ただし、志望する高校にある同一の学科内に2科(2分野)以上ある場合(芸術に関する学科は除く)は他のすべての科(分野)に志望順位をつけて出願することができます(例1・例2)。また、同一の都立高校内に普通科とコース、農業科と家庭科等、複数の学科がある場合は、それぞれ別の学科として扱うため、一方を第1志望とした場合、他方を2志望に指定することはできません(例3)。ただし、立川の理数科を第1志望とする者は同校の普通科を、科学技術の理数科を第1志望とする者は同校の科学技術科を、それぞれ第2志望に指定することができます。

なお、チャレンジスクール、八王子拓真(チャレンジ枠)、一橋、浅草、荻窪、八王子拓真(一般枠)及び砂川では、各部に志望順位を付けて出願することができます。新宿山吹(定時制)では各科各部に志望順位を付けて出願することができます。

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<志願変更について>
志願者は1回に限り、出願した高校の志願を取り下げて、別の高校へ再提出する志願変更ができます。なお、同一の都立高校内に普通科とコース、農業科と家庭科等、複数の学科がある場合は、それぞれ別の学科として扱うため、一方に出願後、他方へ志願変更をすることができます。ただし、取り下げた高校の同一のコース及び科(分野)に再提出することはできません。また、同一の都立高校にある同一学科内の科(分野)相互間の志望順位の変更もできません。

なお、定時制では、チャレンジスクール、八王子拓真(チャレンジ枠)、一橋、浅草、荻窪、八王子拓真(一般枠)、砂川に限り、これらの高校間での志願変更及び全日制への志願変更が可能です。全日制の高校から定時制の高校への志願変更はできません。

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<学力検査について>
第一次募集・分割前期募集の学力検査については、全日制では原則、すべての学校で実施されます。検査はマークシート方式となります。各教科の満点は100点ですが、一部の学校で特定の教科に比重をかける傾斜配点を行う場合があります。
※エンカレッジスクールは学力検査ではなく、調査書、面接、小論文または作文、実技検査での選考です。
※学力検査は原則として共通問題で行われますが、一部の学校では国語・数学・英語について独自の問題を使用します。
また、過去5年間の5教科の受験者平均点は、次の表のとおりです。

(満点は100点)
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<自校作成問題について>
進学指導重点校(日比谷・戸山・西・国立・立川・八王子東・青山)と進学重視型単位制高校(新宿・国分寺・墨田川)では、英語・国語・数学の3教科の学力検査を自校で作成した問題を使用して実施します。理科と社会の2教科については都立高校共通問題を使用します。また、英語のリスニングも共通問題と同じ問題を使用します。なお、国際高校は、英語の学力検査問題のみ、リスニング問題を含め自校で作成します。

<中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)について>
令和5年度入試から、英語4技能のうち「話すこと」の能力について評価するため、第一次募集・分割前期募集において、中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)の結果を活用することとなりました。中学校は、スピーキングテスト結果(A~F:6段階評価)を、調査書の「諸活動の記録」に記載し、生徒の志願先の都立高校へ提出します。また、スコアレポートも合わせて提出します。
※エンカレッジスクール、チャレンジスクール、英語学力検査を実施しない学校などは対象外です。
※推薦入試、分割後期募集・第二次募集以降の選抜においては活用されません。

<選考について>
選考は学力検査の結果、調査書点、点数化したスピーキングテストの結果、面接や実技検査等の得点を加えた総合成績で行います。学力検査と調査書点の比率は、全日制の第一次募集・分割前期募集では、原則としてすべての学校で7:3となっています。

◇選考の手順

①学力検査の得点の換算方法
100点満点×5教科=500点満点を700点満点に換算します。
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②調査書点の換算方法
9教科45点満点の評定は、学力検査を実施する教科(国・社・数・理・英)の評定を1倍、学力検査を実施しない教科(音・美・保体・技家)の評定は2倍し、合計65点満点とします。さらに調査書点を300点満点に換算します。
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※学力検査の実施教科が3教科の場合、調査書点の合計は、3科(学力検査実施教科)×5+6科(学力検査を実施しない教科)×5×2=75点満点となります。

③スピーキングテストの換算方法
都立高校では、AからFまでの6段階で提出された評価を、次のとおり、20点満点に点数化します。
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④総合得点の算出法
学力検査の得点と調査書点に、スピーキングテストの得点を合計し、「総合得点」を算出します。
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⑤総合成績の算出
面接や実技検査を実施した学校では、上記の総合得点にその点数を加え「総合成績」を算出します。選考にあたっては、総合成績の高い順に合格者を決定します。
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<男女合同定員について>
令和5年度入試まで、都立高校の普通科(コース設置校のコース、単位制除く)では、男女別の募集人員があり、男女別で総合成績の順に合格を出していました。そのため、男子(女子)より成績の高い女子(男子)が不合格になる場合がありました。東京都教育委員会では、こうした状況を改善するため、令和4年度入試から男女合同定員による入学者選抜への移行を段階的に進めており、令和6年度入試からは推薦に基づく選抜の一般推薦も含め、男女合同選抜へ移行しています。

4、私立併願校について

臨海セミナーでは、都立高校が第一志望の場合であっても、必ず併願の私立高校を受験するよう指導しています。近い学力層の受験生が集まる都立高校入試では、少しの得点ミスにより合格が厳しくなる場合があります。また、入試当日の体調等によって、内申に余裕がある生徒でも実力が出し切れないこともあります。先に私立高校を受験することで入試当日の緊張感に慣れることができますし、都立入試前に私立高校の合格を得ておくことで気持ちに余裕を持って都立高校入試を迎えることができます。

併願の私立高校は都立高校が不合格となった際には進学することになる高校です。まれに、都立高校合格発表後に「併願した私立高校に納得できないので、その高校への進学を取り止め、別の私立高校を受験したい」という生徒がいますが、この時期に募集を行っている私立高校はかなり限られることになります。そのようなことがないよう、必ず事前に学校説明会などに参加し、校風や教育方針等を見極めたうえで、3年間通いたいと思える高校を受験校とするようにしてください。

また、経済的な事情から私立高校への進学が難しく、都立高校のみを受験するというご家庭があります。入学金や学費等に関しては、国や都からの補助金(返還不要)を利用することで進学が可能な場合も少なくありません。経済的な事情により私立高校の受験を迷われている場合には、ご遠慮なくお通いの教室にご相談ください。

臨海セミナーの進路指導では、受験生一人ひとりにあった高校選びを、スタッフ一同が全力でサポートしてまいりますので、ご安心ください。

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