臨海セミナーについて

臨海セミナーでは、お子様の学習段階に合わせたコースを多数用意しております

ほかにあるよ!楽しいブログ
ペンギン入試レポートは臨海セミナーに通うみなさんに毎月お配りしている最新入試情報です。

入試分析チームが語る、神奈川県公立高校入試・数学の攻略法 前編

小中学部
小中学部
公開日:2023年10月05日

臨海セミナーが誇る「入試問題分析チーム」のご紹介

小笠原 先生

講師歴20年のベテラン理系講師。小中学部の教室長を経て現在は本部で入試問題の分析を行なっている。
数学、理科、教材の作成や指導カリキュラム作成を行っている。

小笠原先生

楠川 先生

講師歴20年のベテラン理系講師。小中学部の地域責任者を経て、現在は本部で入試問題の分析を行なっている。
現在はオンライン講座をはじめ、映像授業やプログラミング講座にたずさわっている。

楠川先生

[1]神奈川県公立入試・数学の問題傾向

楠川先生:数学の入試問題の大まかな構成は、まずは計算領域、単問、あとは関数、確率、空間図形ですね。
昔は証明問題が大問としてありましたが、単問のところに入ってきました。 それ以外の関数、確率、空間図形については大きく傾向が変わっているわけではなく、従来通りです。

『ヒストグラム』は勘違いや計算ミスに注意

――― ヒストグラムという単元は、ここ最近、神奈川以外の入試でもよく見るようになりました。問題としては難しいものですか?

小笠原先生:難度自体はそこまで高くありませんが、ヒストグラムやデータ資料、統計資料を整理するときに『代表値』と呼ばれるものがいくつか出てきます。『最頻値』や『中央値』など。その言葉の意味自体を生徒が忘れてしまっているケースは少なくありません。また、資料の見方によって数字を勘違いしてしまうこともありますね。
さらにそこに平均値などが入ってくると、かなり計算量も増えていきます。小数の計算が苦手な生徒は多く、計算間違いをしやすいので、難度が高いというよりも

  • ①知識が足りない部分
  • ②資料の捉え方を勘違い
  • ③計算力・計算ミス

で点数を落としてしまうことがあります。

――― 難問というよりは、ミスしがちな単元ということですね。

小笠原先生:そうです。後で振り返って「分かっていたのにミスしてしまった」といったことになってしまう可能性が高いと思います。

jhs_nyushi_math_histogram.jpg

楠川先生:教科書が改訂されて、こういったデータ系の問題は全国的にさらに増えると思います。教科書でも扱われていることに加え、問題も作りやすいですし、大学入学共通テストでも「情報」が必須化されるところにも繋がっていきますね。
そういう方向性を考えると、この領域は増えていく、もしくは難しくなると思います。ただ今の段階では「ミスしないこと」と「勘違いしないこと」が大切ですね。 「中央値だったのに最頻値として考えてしまった」などの勘違いをしないようにすることがかなり重要かなと思います。

[2]数学でミスを減らす方法

楠川先生:中学校の教科書や問題集ですと整数で練習する場合が多いですが、入試問題は分数で出てくることがとても多いので、練習段階から分数が入っている問題でやっておくとミスが減らせます。
「答えが分数になるのがおかしい」や「途中計算に分数が出てきているのがおかしい」という感覚ではなくて、むしろ分数が当たり前と思い、『分数が出てきてもミスをしない計算力』をつけて入試に臨む必要がありますね。

jhs_nyushi_kusukawa3.png

分数の計算に慣れておくこと

――― 例えば正答として、分母が1桁で、分子が3桁になるような問題は公立入試で出題されることはありますか?

小笠原先生:分母分子が両方とも2桁だったり、分母が1桁で分子が2桁だったり、ということもありますね。

――― では、ちょっと見慣れない分数が出ても決して間違いじゃない可能性がある、ということですね。

小笠原先生:そうですね。

[3]単元別アドバイス:空間図形

――― 空間図形は苦手な生徒が多いイメージがあります。臨海模試などの分析でもそういう傾向はありますか?

小笠原先生:やはり空間図形はなかなか点数が取れず苦手とする生徒が多いですね。
ただ、入試問題が当てはまるかどうかは別ですが、解き方はいくつかパターンがあります。基本的な問題はある程度パターン化できていることが多いです。
空間図形が得意な生徒がよく言う「直角三角形が見える」という話も、実は3点をどうやって取るかということなんです。 入試問題では、高いところの1点と真下の1点と横にどこか1点でそれで直角三角形が取れるパターンがかなり多いです。

――― どこを通るかっていうことをしっかりと考えることが大事なことなのですね。

小笠原先生:そうですね。
その直角三角形がどこにあるのかというのは、立体を斜めから見ていても分からないので、その立体を真上から見た図やとか正面から見た図を自分で描けるようになると、解きやすくなりますね。

カギは『投影図』!

楠川先生:小学校や中1で勉強する図形の表し方の中でも、『展開図』はよく使うから大事だと皆さん意識されていると思いますが、実は『投影図』の発想もとても大事です。 投影図の発想ができないということは、空間図形の"中"が見えていないということです。 どこが90度でどこが平行なのか分かっていないという状態ですので、投影図の問題でなかったとしても、発想として持っておくことはとても重要です。

――― 投影図ですか。投影図なんて久し振りに聞いたような気がしますね。

楠川先生:上から見た図、前から見た図、というのが投影図ですね。中1で習います。

jhs_nyushi_math_toeizu.png

――― 実際、学校のテストでも投影図の問題は出てきますか?

楠川先生:学校によっては出るところもありますが、メインになる応用問題ではなく、基礎知識の確認くらいの扱いで出題されることが多く、なんとなく過ぎてしまう印象は否めません。

――― それでは、空間図形のポイントは①見る方向を変える ②投影図を意識する ということになりますか?

小笠原先生:あとは実際、それだと空間図形を「見ている状態」でしかないので、実際に「解く」ためには、平面図形に変えることが重要です。中にある面を取り出すか、もしくは展開図を作って外側の面を平面にするという作業です。
生徒が最も苦手になりがちなのは、やはり中にある平面を取り出すパターンですね。
それに比べると展開図パターンは比較的易しいですが、2021年度神奈川入試であれば、展開図をさらに自分で少し加工して解かなくてはいけない問題が出題されており、かなり難度は高かったですね。

空間図形を克服するためのポイントとは?

楠川先生:展開図も切断図も、解いていて分からなくなったり明らかに面倒な方法になっていたりして「どこかおかしい」と思ったら、いったん違う展開図や切断の仕方を考えると良いです。
試験の時に「以前その方法で解けたから必ずいけるはずだ」と押し通すのではなくて、行き詰った時に「もう一回やり直せる力」が必要ですね。そのためには、複数の解き方の選択肢を持ち合わせておかないといけません。
あとは立体を切る、つまり切断が苦手な生徒は、面と辺の関係がよく分かっていないことが多いですね。どの面とどの辺が垂直なのか、どの面とどの辺が平行なのか、その空間の認識ができてないということです。
定期テストなどで出題されるものは基本なので解き方さえ分かれば点数が取れますが、そこが実はきちんと理解できていないから、入試問題を解く際につまずいてしまいます。定期テストでよく出る問題だけは練習してできるようになっていても、きちんと理解していないからです。

小笠原先生:臨海セミナーの先生が中学1年生に「空間図形はこれからこういう考えで解いていくよ」と教えている内容ですね。

楠川先生:中3の入試対策中にも「この問題は中1の知識を使って解こう」と教えていることが多く、生徒からも「なるほど」「たしかに中1でやった」と反応をしてくれます。

jhs_nyushi_math_setsudan.jpg

――― 生徒が解いている様子を見ていると、いろいろ書き込みをして、そこから断面図を取り出して、ということをしています。その中でも図形が得意な子は「この点とこの点を繋いだらこういう形になる」というのが瞬時にイメージできているように思います。
その訓練は「中学校1年生の復習をしてみると良いよ」ということにつながりますか?

小笠原先生:そうですね。
おそらくですが空間図形が苦手だなという人は、紙だと奥行きがないために上手くイメージが膨らまないのではないでしょうか。中1で『立方体などの切断』をやるのですが、切断面を考えないといけないのと、平面と辺の交わる点がイメージできないといけないので難しいかもしれません。 それを訓練すると「この平面のこの辺がここで交わっていて、だからこの点に対してこの点は奥にあって」など、そういう部分が理解しやすいかなと。だから中1の『立方体の切断』が重要だと言えます。

立体をイメージしにくいのなら実際に見てみよう

楠川先生:実践できるテクニックだと、おうちの人が料理しているところを手伝うのはどうでしょうか。
実際にある食べ物ってほとんど平面でなく立体なので、「自分が食べるからちょっと変に切っていい?」って、豆腐を斜めに切ってみたりとか。
そういうのをやってみると「ああ、こういう風に切るとこうなるのか」ということが分かってきます。「教科書では見たけど、実際やってみたらこうだった」ということが分かると少し認識しやすくなるのかなと思います。そういう意味では、おうちの手伝いも解法のヒントになりそうですよね。

――― そうですね。
まさかおうちの手伝いが数学の勉強に役立つとは、一石二鳥ですね!

数学後編では、以下の内容について語っていきます!

  • 単元別アドバイス:確率
  • 単元別アドバイス:証明問題
  • 数学が苦手なキミが、数学の点数を上げるコツ
  • 数学を得意にする『ひと工夫』を教えます
最近の投稿
臨海セミナーについて

臨海セミナーでは、お子様の学習段階に合わせたコースを多数用意しております

ほかにあるよ!楽しいブログ
ペンギン入試レポートは臨海セミナーに通うみなさんに毎月お配りしている最新入試情報です。