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2022

2022年(令和4年)5月号_大阪府公立・私立高校入試総合版

公開日:2022年05月01日

大阪府公立・私立高校入試の仕組みを知ろう

「ペンギン入試レポート5月号(大阪府公立・私立高校入試総合版)」では、令和5年度公立高校入試の日程、および公立高校・私立高校入試制度をまとめました。早い時期から入試の仕組みを知り、意識を高めることができるかどうかで結果は大きく変わります。ぜひ、ご一読いただきお役立てください。

高校入試で合格を勝ち取ることができるよう、臨海セミナー職員一同できる限りの指導をさせていただきます。入試に関するご相談などがございましたら、ご遠慮なく臨海セミナーの各教室までお問い合わせください。

1、令和5年度入学者選抜日程

令和5年度大阪公立高校入学者選抜の日程が発表となりました。早い時期から入試の日程を把握することで、入試に向けての学習スケジュールを立てることができ、モチベーション向上にもつながります。受験生の皆様は、ぜひご確認ください。
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2、入試の種類と選抜資料

大阪府の公立高校入試は、大きく分けて「特別入学者選抜」(以下、特別選抜)と「一般入学者選抜」(以下、一般選抜)の二つに分けられます。特別選抜は、実技検査を行う学科や面接を行う学科で行われます。一般選抜は、特別選抜を実施する学科を除くすべての学科で行われます。出願は特別選抜、一般選抜ともに1校1学科のみとなります。ただし、募集人員を複数の学科ごとに設定している学校では、他の1学科を第2志望として出願することができます。
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3、学力検査について

全日制の課程では、特別選抜・一般選抜ともに、国数英社理5教科の学力検査を実施します。社会・理科はすべての学校が共通の問題を実施しますが、国語・数学・英語については、特別選抜では「基礎的問題(A)」「標準的問題(B)」の2種類、一般選抜では「基礎的問題(A)」「標準的問題(B)」「発展的問題(C)」の3種類の中から各学校が事前に指定した問題を実施します。各高校がどの種類の学力検査問題を実施するかは、例年7月中旬以降に大阪府教育委員会より発表されます。発表され次第、「ペンギン入試レポート」等でお知らせします。

◇英語の学力検査問題について

大阪府公立高校入試の英語の学力検査問題には3つの大きな特徴があります。

  • ①英語の学力検査で使用する英単語は、大阪府教育委員会が作成する英単語集から出題されます。
  • ②発展的問題(C)は、問題文のすべてが英語で作成されます。
  • ③外部検定のスコアに応じた点数保障制度があります。

英語の外部検定(TOEFL iiBT、IELTS、実用英語技能検定)のスコア等が一定レベル以上の場合、出願時に申請すれば、学力検査で以下の点数が保障されます。(入試当日の学力検査の点数が、保障される点数を上回る場合は、学力検査の点数が採用されます。)
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4、調査書の扱い

調査書には、「各教科の学習の記録」(評定)と「活動/行動の記録」を記載します。調査書の評定については、中学3年生の評定を重視する形で、中学1年生:中学2年生:中学3年生の評定にかける比率は、1:1:3となっています。

さらに、学力検査(5教科)の満点と調査書評定の満点が同じになるよう、調査書評定に一定の係数を掛け、調査書評定の合計を求めます。

◇調査書評定の府内統一ルールについて

大阪府では、公平な入試を実施するため、各中学校がつける調査書の評定について、大阪府全体の状況に照らして適正であるかどうかを確認するために、チャレンジテストを活用した府内統一ルールを定めています。令和5年度の府内統一ルールにつきましては、令和4年7月以降に府教育委員会より発表となる予定です。

5、自己申請書について

大阪府公立高校入試では、受験生全員が出願時に自己申告書を提出します。受験生は、大阪府教育委員会が予め提示したテーマについて自己申告書に記述し、提出します。自己申告書は、一般選抜(通信制の課程を除く)と特別選抜(実技検査を実施する場合)においてはボーダーゾーン内の選抜資料として、特別選抜(面接を実施する場合)においては、意欲評価面での選抜資料となります。令和5年度入試のテーマは10月中旬以降に大阪府教育委員会より発表される予定です。

6、特別選抜での総合点の算出方法

学力検査

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学力検査の成績(①) 225点

調査書

9教科の評定は各25点(3学年の評定×3倍+2学年の評定×1倍+1学年の評定×1倍)とする。
(9教科:国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、技術・家庭、英語)

調査書の評定(②) 225点

総合点

高等学校を設置する教育委員会が定める倍率のタイプの中からあらかじめ各高等学校長が選択し、「学力検査の成績(①)」と「調査書の評定(②)」にそれぞれ倍率をかけて合計し、総合点を算出。
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※実技検査を実施する場合は、上記に実技検査の成績を加えて総合点とします。

実技検査

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7、一般選抜での総合点の算出方法

学力検査

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学力検査の成績(①) 450点

調査書

9教科の評定は各50点(3学年の評定×6倍+2学年の評定×2倍+1学年の評定×2倍)とする。
(9教科:国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、技術・家庭、英語)

調査書の評定(②) 450点

総合点

高等学校を設置する教育委員会が定める倍率のタイプの中からあらかじめ各高等学校長が選択し、「学力検査の成績(①)」と「調査書の評定(②)」にそれぞれの倍率をかけて合計し、総合点を算出。
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8、合否判定の方法

(1)特別選抜(面接実施)

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(2)一般選抜(全日制の課程(調査書を要しない選抜を除く))特別選抜(実技検査実施)

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*総合点の同点者がいるために、90%、110%に当たる者を確定できない場合は、その同点者も含めた人数までを募集人員の90%、110%に相当する者とする。

9、複数学科設置校について

大阪府公立高校への出願は1校1学科に限りますが、募集人員を複数の学科等ごとに設置している学校では他の1学科等を第2志望とすることができます。第2志望の選抜は下記のとおりです。

  • ①志望学科に関係なく、すべての受験生を総合点順に並べ、上位者からそれぞれの第1志望の学科の合格候補者とする。
  • ②1つの学科のボーダーゾーンを含んだ人数が合格候補者で満たされた時点で、その学科の合格者を先に決定する。
  • ③その時点での合格決定者を除いた者の中から、志望順位に関わらず総合点の上位者から順に、他方の学科の合格者を決定。
  • ④3つ以上の学科を併置している場合は、同じ手順を繰り返す。

10、令和5年度以降の変更点について

大阪府の公立高校で令和5年度以降に変更が予定されている内容は下記の通りとなります。
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11、私立高校の入試制度について

私立高校では、主に「専願」と「併願」に分けて入試を行っています。専願は受験する私立高校を第1志望とし、合格したら必ずその高校に入学することを条件としています。併願は他校を第1志望とし、第2志望以降で受験する形態です。大阪・京都・兵庫の私立高校のほとんどは入試日を統一していますので、私立高校同士の併願は少なく、公立高校を第一志望、私立高校を押さえとする受験パターンがほとんどとなります。ただし、奈良や滋賀、和歌山の私立高校は、大阪・京都・兵庫より早い時期に入試を行いますので、これら3県の私立高校との併願受験は可能です。

合否の判定にあたっては、専願の受験生のほうが併願の受験生よりも有利となることが一般的です。例えば、5教科500点満点で併願であれば合格ラインは330点のところ、専願では300点に設定されるなどが挙げられます。専願と併願で合格ラインにどのくらいの差があるかについては、受験する年度や高校ごとに異なります。

ただし、専願・併願の区別をしていない高校や、専願でのみ受験可能な学科・コースを設けている高校もありますので、必ず事前に志望校の募集要項等で確認するようにしてください。

また、専願の代わりに「推薦」という入試形態を採る高校もあります。高校が独自に調査書の評定等をもとにした推薦基準を設定し、その基準を満たす生徒が中学校長の推薦を受けて受験します。推薦で受験した場合、不合格になるケースは少ないですが、専願同様、合格すれば必ずその私立高校に入学しなければなりません。

12、回し合格について

複数の学科やコースを設けている私立高校においては、「回し合格」というシステムが存在する場合があります。例えば、ある高校で英数コースと総合コースが設置されており、英数コースの方が難度が高いとします。英数コースを受験した生徒のなかで、英数コースの合格ラインには達しなかったが、総合コースの合格点は上回っている場合、英数コースは不合格であっても、総合コースで合格となることがあります。

このシステムには、2つの注意点があります。まず一つ目が、第1志望に英数コース、第2志望に総合コースと明記した受験生に限って、総合コースへの回し合格が認められるケースと、志望コースに関係なく入試得点によって自動的に合格するコースが決定される高校があるという点です。二つ目は、英数コースを専願受験して総合コースで回し合格となった場合、総合コースも同様に専願の扱いになるということです。「英数コースなら私立専願だが、総合コースであれば公立が第一志望」などの希望は原則としてかなえられませんが、高校により回し合格の場合は併願可という場合もありますので、必ず事前に志望校の募集要項等で確認するようにしてください。

13、中学校での三者懇談と進路相談について

中学3年の2学期に行われる三者懇談では、中学校の担任の先生、生徒、保護者との間で私立高校の志望校について話し合います。この三者懇談の結果をもとに、中学校の先生が1月初旬に各生徒が志望する私立高校を訪問して成績などを示し、合格の可能性を打診する「進路相談」が行われます。

進路相談は入試での不合格者をなるべく少なくするため、また私立高校側からすればどのくらいの学力の生徒が何名くらい受験するかを事前に把握するために、実施されています。ただし、すべての私立高校で進路相談が行われるわけではありません。また、進路相談で「合格の可能性が高い」と返答をいただいていても、合格が100%保証されるものではありません。入試での服装や行動にも注意が必要です。また、入試得点が極めて低い場合には不合格となってしまう場合があります。進路相談で良い返答をいただいたとしても気を緩めることなく、入試当日までしっかりと勉強に取り組んでください。

14、1.5次入試について

大阪・京都・兵庫の私立高校では、一部の高校を除き、毎年2月に日程を統一して入試を行っています。入試後、数日の間に合格発表が行われますが、私立高校のなかには合格発表の直後に再度、入試を行う高校があります。3月の公立高校入試の後に行われる私立高校入試は2次入試(すべての私立高校で実施されるものではありません)ですが、この時期に行われる入試は1次入試と2次入試の間に行われるため、「1.5次入試」と呼ばれています。

1.5次入試は、1次で定員に満たなかった場合に実施されるケースが多く、すべての私立高校で実施されるわけではありません。また、実施校も直前にならないと確定しません。しかし、1次入試で不合格の場合には、私立高校への進学をめざす生徒にとってはもちろんのこと、併願受験の場合でも公立高校入試の前の段階で、再度私立高校の合格を勝ち取るチャンスとなります。先に併願の私立高校に合格することで、気持ちに余裕を持って公立高校入試を迎えることができますので、万一の際の選択肢として検討してみてください。

15、私立高校併願の重要性について

同レベルの学力の受験生が集まる入試は、少しの得点ミスにより合格が厳しくなる場合があります。また、入試当日の体調等によって、内申に余裕がある生徒でも実力が出し切れないこともあります。したがって、公立高校が第一志望であったとしても、必ず私立高校を併願で受験するようにしてください。先に私立高校を受験することで入試当日の緊張感に慣れることができますし、先に私立高校に合格することで気持ちに余裕を持って公立高校入試を迎えることができます。

併願の私立高校は公立高校が不合格となった際には進学することになる高校です。毎年、公立高校合格発表後に併願した私立高校への進学を取り止め、別の私立高校を受験したいという生徒がいます。そのようなことがないよう、必ず事前に学校説明会などに参加し、校風や教育方針等を見極めたうえで、3年間通いたいと思える高校を受験校とするようにしてください。

また、経済的な事情から私立高校への進学が難しく、公立高校のみを受験するというご家庭があります。入学金や学費等に関しては、国や県からの補助金(返還不要)を利用することで進学が可能な場合も少なくありません。経済的な事情により私立高校の受験を迷われている場合には、ご遠慮なくお通いの教室にご相談ください。